
「出店する場所と時期は決まったけれど、空間づくりを誰にどう頼めばいいのか分からない」。ポップアップストアの出店を控えた担当者の方は、こんな悩みを抱えていないでしょうか。
ポップアップストアについて検索すると、定義や出店方法を解説した記事はたくさん出てきます。一方で、ポップアップストアの施工、つまりデザイン・内装・什器を外部に依頼するときの費用や流れ、会社の選び方をまとめて解説した情報は多くないと当社では感じています。
当社は、ポップアップストアのデザイン・施工から、オリジナル什器の制作までをお手伝いしています。この記事では、造作(デザイン・内装・什器などの空間づくり)を依頼する立場の方に向けて、次の内容を整理します。
- 施工費用・内装費用の考え方と、公開されている費用の例
- 什器をレンタル・既製品・オリジナル制作のどれで用意するか
- 相談から設営・撤去までの依頼の流れ
- 防炎など、施設ルールや法規で気をつけたいこと
- 施工会社を選ぶときのチェックリスト
ポップアップストアの施工とは?常設店の内装工事との違い
ポップアップストアとは
ポップアップストアは、特定の場所に期間を限って出店する店舗のことです。ポップアップショップとも呼ばれます。商業施設や百貨店の催事スペース、駅ナカ、既存店の一角、レンタルスペースなど、さまざまな場所で開かれています。
出店の目的は、認知の拡大、新商品のプロモーション、テストマーケティング、ブランディング、顧客と直接会う機会づくりなどです。市場は世界的にも拡大が見込まれており、国内の商業施設でもポップアップストア向けの区画を設ける動きがあります。
施工で扱う範囲(デザイン・内装・什器)
ポップアップストアの施工には、主に次の仕事が含まれます。
- 空間デザイン:コンセプトの整理、レイアウト、導線、照明、サイン、フォトスポットの計画
- 内装・装飾:壁面やバックパネル、グラフィック、装飾の制作と取り付け
- 什器:商品を並べる棚・台・ハンガーラックなどの手配(レンタル、既製品の購入、オリジナル制作)
- 設営・撤去:搬入、組み立て、会期後の解体と搬出
これらを別々の会社に頼むこともできますが、窓口が増えるほど調整の手間も増えます。
常設店の内装工事との違い
常設店の内装工事は、長く使うことを前提に床・壁・天井・設備をつくり込みます。ポップアップストアは会期が限られているため、考え方が大きく変わります。
| 比較項目 | 常設店の内装工事 | ポップアップストアの施工 |
| 使用期間 | 長期間 | 会期中のみ |
| 重視すること | 耐久性・設備 | 短時間での設営・撤去、世界観の伝わりやすさ |
| 施工の制約 | 物件の条件 | 施設の搬入時間、図面の申請、防炎などの規定 |
| 撤去 | 基本的に想定しない | 会期後すぐに撤去が必要 |
| 再利用 | 想定しないことが多い | 什器や装飾を次回以降に使い回す考え方がある |
当社では、短時間で組み立て・解体できること、施設のルールに合わせられることが、ポップアップストアの施工ならではのポイントだと考えています。
ポップアップストアの施工費用・内装費用の目安
費用の内訳
ポップアップストアの出店費用は、大きく次のように分けられます。
- スペース料(区画の利用料)
- デザイン費
- 内装・装飾費(パネル、グラフィック、装飾など)
- 什器費(レンタル・購入・制作)
- 設営・撤去費、運搬費
- 販促物、人件費、決済端末など
注意したいのは、商業施設のスペース料金には、施工費・内装費・什器費が含まれていないことが多い点です。区画の料金だけで予算を組むと、あとから造作費が足りなくなることがあります。
公開されている費用の例
ポップアップストアの什器のレンタル料金、出店費用の総額、そのうち内装・施工にかかる割合について、公開されている例を紹介します。いずれも前提となる条件が異なる一例です。
| 項目 | 公開されている例 |
| 什器レンタル(1週間まで・1点あたり) | ハンガーラック1,100〜5,500円、ディスプレイテーブル・平台5,500〜20,000円、レディーストルソー(腕付き)4,400〜5,500円、フィッティングルーム4,950〜7,700円の料金例 |
| 低予算での試算例 | 10坪・10日間で出店費用の総額が約30万円、そのうち「店舗デザイン・工事」が20%の例 |
| 初出店向けの予算モデルの例 | 初出店(10坪・10日間)の出店費用の総額が80万〜130万円、そのうち内装・施工費が20〜30%、什器レンタルが数万〜20万円の例 |
同じ「10坪・10日間」でも、試算によって総額に数倍の差があります。レンタル什器を中心にシンプルに構成するのか、ブランドの世界観を表す装飾やオリジナル什器をつくり込むのかによっても、費用は大きく変わります。
実際の施工費用は、会場の広さ、会期、デザインのつくり込み、什器をレンタルにするか制作するか、会場の場所や搬入の条件などで変わります。 皆さまのケースでいくらかかるかは、条件を伝えたうえで見積もりを取るのが確実です。
費用を左右する要素と予算配分の考え方
予算の配分は、出店の目的から考えると決めやすくなります。販売を優先するなら区画に、認知拡大やSNSを狙うなら外観・内装に予算を多く配分する、という考え方があります。
造作の面では、目的ごとに次のような部分へ予算をかけるとよいと当社では考えています。
- 販売を重視する場合:陳列できる量、会計までの導線、在庫の置き場所
- 認知・SNSでの拡散を重視する場合:外観の目立ちやすさ、フォトスポット、ブランドの世界観を表す装飾
すべてに均等にお金をかけるより、目的に合わせて「どこにかけ、どこを抑えるか」を決めることが大切です。
ポップアップストアの什器はレンタル・既製品・オリジナル制作のどれを選ぶか
3つの用意の仕方を比較
ポップアップストアの什器は、主に3つの方法で用意します。それぞれの特徴を比べてみましょう。
| 比較項目 | レンタル | 既製品の購入 | オリジナル制作 |
| 初期費用 | 抑えやすい | 中程度 | レンタル・既製品より高くなりやすい(仕様による) |
| 準備にかかる時間 | 在庫があれば短い | 在庫があれば短い | 設計・制作の期間が必要 |
| 世界観の出しやすさ | 出しにくい | 限られる | 出しやすい |
| サイズの自由度 | 低い | 低い | 高い(会場や商品に合わせられる) |
| 再利用 | 手元に残らない(使うたびに借りる) | できる | できる(再利用を前提に設計できる) |
レンタルは、短期間・少ない予算で出店したいときに向いています。ただし、運搬費がレンタル料を上回る場合もあるため、運搬費まで含めて比べることをおすすめします。
レンタルとオリジナル制作を組み合わせる方法もあります。どこを制作し、どこをレンタルにするかは、目的と予算に合わせて施工会社と相談するとよいでしょう。
オリジナルの什器制作が向いているケース
オリジナルの什器制作は、ブランドの世界観を空間全体で表現したいとき、商品のサイズや会場の寸法に合わせたいときに向いています。会期の短い出店での設営・撤去には、組み立てやすいモジュール型の什器が向いています。再利用できる仕様にしておけば次回以降の出店でも使えるため、コスト削減にもつながります。
たとえば「今回だけでなく、今後も各地の商業施設で出店を続けたい」という場合は、分解・運搬しやすいオリジナル什器をつくり、会場ごとに組み合わせを変えて使い回す方法も考えられます。当社では、1回ごとの費用だけでなく、何回使うかを含めて比べることをおすすめしています。
ポップアップストア施工の依頼の流れ
相談から撤去までの6ステップ
ポップアップストアの施工を依頼するときの、一般的な流れは次のとおりです。
- 相談・ヒアリング:出店の目的、会場、会期、予算、ブランドの世界観を共有する
- 現地・図面の確認:会場の寸法、施設の内装規定、搬入の条件を確認する
- デザイン提案・見積もり:レイアウトや演出を提案し、費用の内訳を出す
- 施設への申請・制作:必要に応じて図面を施設へ提出し、装飾や什器を制作・手配する
- 搬入・設営:施設が決めた時間帯に搬入し、組み立てる
- 会期後の撤去・搬出:解体し、再利用する什器は保管や次の会場へ運ぶ
どのくらい前に相談すればよいかは、会場の規模、施設への申請の有無、オリジナル什器を制作するかどうかなどで大きく変わります。会期が決まったら、できるだけ早い段階で施工会社に相談しておくと、選べる方法が広がります。 特に、施設への図面提出の締め切りや、搬入できる時間帯は施設ごとに決まっているため、早めに確認しておきましょう。
見積もりを依頼するときに準備するもの
次の情報がそろっていると、見積もりや提案がスムーズに進みます。すべてそろっていなくても相談はできます。
- 会場の名前・区画の図面や寸法
- 会期(設営日・撤去日を含む)
- 施設の内装規定や出店マニュアル(手元にあれば)
- おおよその予算
- 出店の目的(販売重視か、認知・SNS重視か)
- 販売・展示する商品の種類、数、サイズ
- ブランドの世界観が伝わる資料(ロゴ、写真、参考にしたい空間のイメージなど)
- 什器を今後も使い回したいかどうか
当社では、このリストがまだそろっていない段階でもご相談をお受けしています。分かっている範囲の情報から、一緒に整理していきましょう。
施設ルール・法規で押さえておきたいこと
装飾やパネルは防炎規制の対象になる場合がある
防炎の規制では、カーテン、じゅうたん、展示用合板(展示会場で台やバックスクリーン、仕切りに使うもの)、展示用パネル、下げ丈がおおむね1m以上の装飾幕などが、防炎性能が求められる物品として挙げられています。
ポップアップストアで使う装飾幕やバックパネルが、これに当てはまる場合があります。対象になるかどうかは、建物や使い方によって変わるため、出店先の建物を管轄する消防署に確認しましょう。商業施設や百貨店が独自の内装規定を設けている場合もあるので、施設のルールとあわせて確認が必要です。
施設の規定を知らずに装飾をつくり、設営の直前にやり直しになる、というのは避けたい失敗です。商業施設での施工経験がある会社なら、こうした点を事前に確認しながら進められます。
商材によっては許可や免許が必要
ポップアップ出店では、扱う商材によって、食品衛生法、薬機法、古物営業法、酒税法(期限付酒類小売業免許)などに関わる許可や免許が必要になる場合があります。
食品については、たとえば東京都の「臨時営業」は、祭礼など不特定多数の人が自由に参加できる一時的な行事が対象で、物品販売など営利を主な目的とする行事は対象外です。そのため、ポップアップストアで食品を扱う場合は臨時営業には当たらず、食品の種類や売り方によっては営業許可が必要になります。扱いは地域によって異なることがあるので、出店先を管轄する保健所に確認しましょう。必要な手続きや準備の期間も保健所によって違うため、初めて申請する場合は、出店が決まった段階で早めに(目安として1か月前までに)相談しておくと安心です。
食品を扱う場合は、保健所への相談と並行して、施工会社にも早めに伝えておくと、空間づくりの段取りを組みやすくなります。
ポップアップストアの施工会社の選び方
ポップアップストアの施工会社を選ぶときは、次のポイントを確認しましょう。
| チェック項目 | 確認したいこと |
| 一括で頼めるか | デザイン・内装・什器制作・設営・撤去までまとめて任せられるか |
| 実績 | ポップアップストアや催事での施工実績があるか。同じ業種や近い規模の事例があるか |
| 施設ルールへの対応経験 | 商業施設・百貨店の搬入時間、図面申請、防炎などの規定に慣れているか |
| デザインの提案力 | 目的(販売重視/認知重視)に合わせて、予算配分まで含めて提案してくれるか |
| 什器の提案 | レンタル・既製品・オリジナル制作を比べたうえで、再利用まで考えた提案があるか |
| 見積もりの分かりやすさ | デザイン費、制作費、設営・撤去費、運搬費などの内訳が明確か |
| 対応エリア | 出店したい地域に対応しているか。複数の会場を回る場合も対応できるか |
当社が特に大切だと考えているのは、「つくって終わり」ではなく、会期中の運用や撤去、次回の出店まで考えて提案してくれるかです。短期間の出店だからこそ、設営のしやすさや什器の使い回しを考えた設計が、全体のコストと手間に影響します。
よくある質問
Q. ポップアップストアの施工費用はどのくらいかかりますか?
A. 会場の広さ、会期、デザインのつくり込み、什器をレンタルにするか制作するかなどで大きく変わります。公開されている試算を見ても、同じ10坪・10日間で、出店費用の総額が約30万円の例もあれば、80万〜130万円の予算モデルの例もあり、幅があります。そのうち内装・施工費は、総予算の20〜30%程度とする例があります。具体的な金額は、会場や会期などの条件をお聞かせいただければ、お見積もりの中でご案内します。
Q. 什器はレンタルとオリジナル制作のどちらがよいですか?
A. 短期間・少ない予算で出店するならレンタル、ブランドの世界観を表現したい場合や会場・商品に合わせたサイズが必要な場合はオリジナル制作が向いています。今後も出店を続ける予定があるなら、再利用できるオリジナル什器を制作し、会場ごとに使い回す方法も検討する価値があると当社では考えています。
Q. 依頼してから完成まで、どのくらいの期間が必要ですか?
A. 会場の規模、施設への図面申請の有無、オリジナル什器を制作するかどうかによって変わります。施設ごとに申請の締め切りや搬入時間が決まっているため、会期が決まった段階で早めに当社にご相談いただくのがおすすめです。
Q. 施工会社を選ぶとき、施設の内装ルールについて何を確認すればよいですか?
A. 施設ごとに搬入時間、図面の提出、防炎などの規定があります。施工会社を選ぶときは、商業施設や百貨店での施工経験があり、こうした規定を確認しながら進められるかを確かめておくと安心です。
Q. 見積もりを依頼するとき、何を準備すればよいですか?
A. 会場の図面や寸法、会期、施設の内装規定、おおよその予算、出店の目的、商品の種類や数、ブランドの世界観が伝わる資料があると、提案や見積もりがスムーズです。すべてそろっていなくても、当社にご相談いただけます。
まとめ
ポップアップストアの施工は、常設店の内装工事とは考え方が違います。短時間で設営・撤去できること、施設のルールに合わせること、そして出店の目的に合わせて予算をどこにかけるかを決めることが大切だと当社では考えています。
この記事のポイントを振り返ります。
- スペース料金には施工費・内装費・什器費が含まれないことが多い
- 施工費用は規模や仕様によって大きく変わるため、条件をそろえて見積もりを取る
- 什器はレンタル・既製品・オリジナル制作を比べ、再利用まで含めて考える
- 防炎や営業許可など、施設ルールと法規を早めに確認する
- 施工会社は、一括対応・実績・施設ルールへの対応経験・見積もりの分かりやすさで選ぶ
当社では、ポップアップストアのデザイン・施工から、オリジナル什器の制作までをまとめてお引き受けしています。費用や期間は会場の規模や仕様によって変わるため、まずは会場・会期・ご予算・イメージをお聞かせください。「何から決めればいいか分からない」という段階でも、当社にお気軽にお問い合わせください。











