前回のコラム記事「今さら聞けない?ブラウザのキャッシュクリアとは」に続いて、今回もWebブラウザにまつわる記事をお届けします。
みなさん、ブラウザは何を使っていますか?
Internet Explorerのサポートが今年6月に終了したタイミングで、別のブラウザに乗り換えた方もいらっしゃることでしょう。まだ使い続けているという猛者(?)もおられるかもしれませんが、先日のコラムでも申し上げた通りセキュリティ面でのリスクがありますので、乗り換えをおすすめします。
パソコンに標準搭載されているブラウザをなんとなく使っている方や、「みんなが使っているから」という理由でGoogle Chromeを使っている方も多いかと思います。
そんな方々に向けて、ブラウザ選びはもちろん、Webサイト制作実務の参考に、知っておくと意外と役立つブラウザ関連の情報をご紹介します。
どれが一番使われている?日本と世界のブラウザシェア率
まず、日本国内ではどのブラウザが多く使われているのでしょうか?
国内のブラウザのシェア率を調べてみたところ、以下のような結果でした。
日本におけるブラウザシェア率(上位5つ)
現在のブラウザシェアNo.1は、パソコンとモバイルの合計で5割を占めるGoogle Chrome。パソコンでは6割とGoogle Chrome優勢ですが、モバイルになると日本特有のiPhone人気を受けてSafariが6割に上がってきます。
ちなみに、世界全体におけるブラウザシェア率を見てみると、全デバイスでGoogle Chromeが6割強を占めています。日本ほどiPhoneユーザーが多くないせいかSafariのシェアは低めです。
Web制作業務においては、さまざまなブラウザでの表示や動作を確認する必要があるので、こうしたブラウザのシェアを知っておくとよいですね。
年代順にみる、主なブラウザの特徴と変遷
次に、主なブラウザの変遷を年代順(登場順)にみていきましょう。
■Netscape Navigator(1994年)
インターネット黎明期に登場し、主流だったブラウザ。1990年代に第一次ブラウザ戦争といわれるInternet Explorerとのシェア争い(IE vs ネスケ)に敗れ、サービス終了。(「ネスケ」と聞いて思わず「懐かしい!」と思われた方は40代以上と推察いたします)
■Internet Explorer(1995年)
Windowsパソコンの標準搭載ブラウザ。1995年発売のWindows95とともに登場し、Windows98からは標準搭載されたことから、一時はシェア95%を超えました。2022年6月、ついにサポート終了。
圧倒的なシェアを誇ったInternet Explorerですが、開発者からは長年「IE爆発しろ」と言われ続けたブラウザでもあります。その理由としては、バグが多く開発者泣かせだったこと、独自の仕様が多くIEだけ表示が崩れるため個別対応が必要だったこと、セキュリティに脆弱性があったことなどが挙げられます。
それでも国内でのシェアが世界と比べても抜きん出ていた理由は、行政や銀行などのシステムでIEでしか動作しないものが多々あるためでした(現在もあります)。「どうしてもIEでないと見られない!」「それでもIEを使い続けたい!」という方には、Microsoft EdgeのIE互換モードもあります。
(恨み節が長くなりましたが、27年もの長い歴史を持つブラウザとしてユーザーからは愛されていました。今年6月のサポート終了後には韓国のカフェにIEのお墓が建ったり、2010年のIE6サポート終了時には米コロラド州でリアルの葬儀が行われたことも……)
■Opera(1996年)
使っている人をあまり見かけませんが、1990年代から存在しているノルウェー産ブラウザ。後述するChromium(クロミウム:主にGoogleが開発するオープンソースのコードベース)を使用しているため、Google Chromeと表示が同じです。
■Safari(2003年)
おなじみApple製品御用達のブラウザ。iPhone、iPad、Macに標準搭載されています。
■Firefox(2004年)
非営利組織によって開発されている、Netscape Navigatorから誕生したブラウザ。オープンソースとしてソースコードが公開されています。
■Google Chrome(2008年)
ブラウザとしては比較的後発ながら、国内外で現在シェアNo.1のブラウザ。Androidにも標準搭載。Chromiumを使用しています。Microsoft Edge、Samsung Internet、前述のOperaなど、近年はこのChromiumを採用するブラウザが増えています。Chromiumベースのブラウザは見た目や使い勝手が似ているものが多く、Chromeの拡張機能の多くが使えるというメリットも。
■Microsoft Edge(2015年)
Windowsパソコンに標準搭載されている、Internet Explorerの次世代ブラウザ。Chromiumを使用しています。
web3(web3.0)に対応する次世代ブラウザへの進化
このところインターネットの世界で取り沙汰されている「web3」「web3.0」というキーワードをご存じですか?
「web3(ウェブスリー)」「web3.0(ウェブサンテンゼロ)」とは、次世代インターネットの形を表す概念で、分散型インターネットの総称です。
現在のGAFA(Google/Apple/Facebook/Amazon)など巨大IT企業による中央集権型のインターネット「Web2.0」から脱却し、インターネットを民主化しようとする動きです。
具体的には「特定のプラットフォーマー(管理者)に依存することなく、ブロックチェーン技術*によってデータを個人に分散させる」ことを目指した次世代インターネットの概念です。
*ブロックチェーン技術:暗号通貨等に使用されている技術
以前のweb1.0がメールやテキストの閲覧がメインの「一方通行のコミュニケーション」のインターネット、web2.0が画像や動画、SNSへと進化した「双方向コミュニケーション」のインターネットだとすると、このweb3.0は特定の管理者を必要としない「分散型」のインターネットであると言えます。
最近話題のNFTやメタバースも、Web3.0の主要な要素であると言われています。こうした潮流を受けて、BraveなどWeb3.0のブラウザも登場してきています。今後はもしかすると主流ブラウザが大きく入れ替わるような状況になっていくかもしれませんね。
以上、知っておくと意外と役に立つWebブラウザまわりの情報をご紹介しました。
ブラウザ選びはもちろん、Webサイト制作実務の参考に、雑談ネタに、ご活用いただければ幸いです。