
「品質には自信がある。しかし、新規顧客の開拓が頭打ちになっている」
「営業担当者のスキルに頼りきりで、組織としての提案力にムラがある」
「既存のお客様に、我々が提供できる多様なサービスを知ってもらえていない」
BtoB企業の経営者、マーケティングや販促部門の責任者の方々にとって、これらは決して他人事ではない、根深い課題ではないでしょうか。
こんにちは。株式会社小西印刷所です。私たちも、ほんの数年前まで、皆様と同じ課題を山のように抱える、歴史ある一印刷会社でした。
この記事では、そんな私たちがどのようにして「モノづくり」主体の待ちの姿勢から脱却し、お客様の事業課題にまで踏み込む「価値づくり」の提案集団へと生まれ変わったのか。そのリアルな営業改革の軌跡と、BtoBマーケティング内製化の道のりをご紹介します。これは、私たちのDX戦略の物語です。
私たちが直面した「静かな危機」- 変化の前の姿
私たち小西印刷所は、長年にわたり高品質な印刷という「モノづくり」でお客様の信頼を得てきました。しかし、時代の変化とともに、その誇りの裏側で「静かな危機」が進行していました。
- 新規顧客獲得の伸び悩み:従来型の営業手法だけでは、新たな顧客との接点を効率的に生み出せない。
- 既存顧客へのサービス周知不足:印刷以外にも多様なサービスがあるにも関わらず、担当営業が紹介しない限りお客様に知っていただく機会がない。
- 営業活動の属人化:個々の営業担当者のスキルや経験に依存し、組織としての提案力や顧客情報が標準化・共有されていない。
「このままでは、お客様に選ばれ続ける存在ではいられない」。この強い危機感が、私たちのDX、そして営業改革の出発点でした。
改革の狼煙は「有志」から。手探りで始めたデジタル武装への挑戦
大きな変革を決意したものの、最初から専門の組織があったわけではありません。私たちの挑戦は、問題意識を共有する「有志のメンバー」が手探りで道を探すことから始まりました。
私たちが「デジタル武装」の核として導入を決めたのが、MA(マーケティングオートメーション)ツールです。そして、このツールを軸に、顧客との関係を再定義する2つの仕組みを構築しました。
1. 【新規顧客向け】「待ち」から「創り出す」営業へ
コラム記事を中心としたコンテンツマーケティングを強化。お客様が抱える課題をテーマにした記事を継続的に発信することで、Webサイトへの自然な流入を創出しました。そして、サイトを訪れた見込み客が「さらに詳しい情報が欲しい」と感じた時に、自然な流れで問い合わせに繋がる導線を設計。これにより、能動的に情報を探しに来る、熱量の高い見込み客と出会う機会が飛躍的に増加しました。
2. 【既存顧客向け】「点」から「面」への関係深耕へ
MAツールを活用し、お客様の興味や役職に合わせたメールマガジンの配信を開始。単なるご挨拶で終わるのではなく、お客様のビジネスに役立つ情報や、これまで伝えきれていなかった多様なサービスを、WebサイトのLP(ランディングページ)と連携させながら継続的に発信しました。これにより、お客様との接点が「担当営業」という「点」から、会社全体という「面」へと広がり、関係性をより深く、強固なものへと変えていきました。
「チラシ1枚」から「事業課題の解決」へ。提案の質的変化がもたらしたもの
デジタル武装によって、私たちの営業スタイル、そしてお客様への提案内容は劇的に変化しました。
- Before:「このチラシを1,000部、〇〇円で印刷します」という、仕様と価格が中心の「モノづくり」の会話。お客様の事業の末端を担う、数ある取引先の一つでした。
- After:「お客様の“若年層へのブランド認知向上”という事業課題に対し、当社の企画力とWebマーケティングの知見を活かし、SNSキャンペーンと連動した印刷物をご提案します。グループ全体のソリューションを活用すれば、イベントの企画・運営までワンストップでご支援できます」という、お客様の事業の上流から伴走する「価値づくり」の会話。
提案の起点が「モノ」から「コト(課題)」に変わったことで、私たちは単なる印刷会社ではなく、お客様の事業成功を共に目指すビジネスパートナーへと生まれ変わることができたのです。
DXは「手段」。真の目的は、顧客と自社の未来を創ること
有志で始まったこの活動も、小さな成功体験を一つひとつ積み重ねることで、徐々に社内での認識が変化。今では専門の組織が立ち上がり、MAツールは私たちのマーケティング活動にとって「なくてはならない存在」となりました。
振り返れば、失敗や試行錯誤の連続でした。しかし、この印刷会社DXの挑戦を通じて私たちが確信したことは、DXとはツールを導入して終わりではない、ということです。それは、「お客様の成功に、もっと貢献したい」というマインドセットの変革であり、その想いを実現するための「手段」なのです。
まとめ:変化の一歩は、あなたの会社から
もし、かつての私たちと同じように、事業の成長に課題を感じ、「何かを変えなければ」と思っているのなら。ぜひ、私たち小西印刷所にご相談ください。
私たちは、DXを成功させた当事者です。だからこそ、同じ製造業として皆様が抱える課題に深く共感し、机上の空論ではない、実践的なご支援ができます。
「BtoBマーケティングを内製化したいが、何から手をつければ…」
「デジタルを活用した営業改革について、まずは話を聞いてみたい」
「印刷物の発注だけでなく、事業課題の壁打ち相手がほしい」
そんな時はぜひ、お声がけください。貴社の挑戦の第一歩を、ビジネスパートナーとして共に踏み出せることを、心から楽しみにしています。