「書体」とは、共通のデザイン方針で作られた文字の集まりのことです。
代表的な書体としては「明朝体」と「ゴシック体」があげられます。他にも「筆書体」や「デザイン書体」などがありますが、それぞれが持っている基本的な性格を理解して利用することが大切です。
また「書体」と同義語で使われるのが「フォント」です。本来は活版印刷に使う金属製の活字のことで、近年はデジタル化した書体のことを指しますが、特殊な場合を除いては「書体」も「フォント」も同じ意味で使われていることが多いようです。
■ 書体の種類
明朝体 明朝体は横線が細く、縦線が太い書体です。書籍などの本文用活字として最も普通に使われています。 |
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ゴシック体 ゴシック体はすべての画がほぼ同じ太さに見える書体です。見出しなど強調する目的で使われます。 |
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筆書体 中国や日本の伝統的な書にならって作られた、筆を用いて書いたような書体です。 |
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デザイン書体 さまざまなイメージや用途を想定してデザインされた書体です。 |
■ 書体のサイズ
文字のサイズを表す単位には、パソコンなどで使用される「ポイント(pt)」と、写植文字の「級(Q)」があります。例えば、10ptの文字とほぼ同じ大きさは14Qです。
近年は読者層の高齢化を受けて、新聞などでもフォントサイズを大きくする傾向が見られます。朝日、読売、毎日など主な新聞社はいずれも8.6×10.8ptの扁平文字が使われていますが、それぞれ違う書体が使われているため印象は異なって見えます。
■ 書体の太さ
1つの書体の中には「ライト」「レギュラー」「ミディアム」「ボールド」など、いくつかの種類が用意されており、それらは太さ(ウエイト)を表しています。文章の役割や文字の大きさ、読みやすさ、デザインの狙いなどによって使い分けることができます。
■ UD(ユニバーサルデザイン)フォント
ユニバーサルデザインとは、年齢や性別、障害に関係なく、あらゆる人が快適に利用できるように、配慮・工夫がされたデザインのこと。近年では自治体や公共施設だけでなく、顧客満足度を高めるという観点から採用する企業が増えています。
ユニバーサルデザインフォント(UDフォント)とは、このユニバーサルデザインの視点で「読みやすさ」「誤読されにくさ」等に配慮して開発されたフォントのことです。
文字そのものの「見やすさ」「誤読されにくさ」に重点をおくため、長文になった際読みやすさに欠ける点もあると言われていますが、新聞用の明朝体や教科書用の書体も出ており、幅広く活用することができます。
こちらの記事「ユニバーサルデザインフォント(UDフォント)のお話」でも詳しくご紹介しています。
■ 書体に関連する印刷用語
文字をアウトライン化することで、文字が図形化されます。これにより、作成時に使用したフォントがインストールされていないPC環境でも文字の形が変わってしまうことを防ぐことができます。ただし、一度アウトライン化したフォントは元に戻すことができません。アウトライン化したデータは必ず別名保存して、アウトライン前のデータを保管しておきましょう。
■ Illustratorでのアウトライン化手順
すべてのフォント・オブジェクトを選択した状態で、
[書式]→[アウトラインを作成]
■ InDesignでのアウトライン化手順
選択ツールでテキストフレームを選択して
[書式]→[アウトラインを作成]
いかがでしたか? 書体(フォント)の基本を正しく知って、デザインやDTP、印刷物に効果的に生かしましょう。
ほかにもあります!「印刷の基礎知識」のシリーズ記事は以下より
印刷の基礎知識(1)やっぱり大切「紙」のこと